大好きな世界観、そしてこんなひとになりたい!
東京ステーションギャラリーで開催されている展覧会、「生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った」に行ってきました。
宮脇綾子さんは1905年生まれのアーティスト。1995年に90歳で亡くなるまで、ありとあらゆる布を使ったアプリケ作品を作り続けました。
1945年、太平洋戦争が終わった時、彼女は40歳。
「これまでは空襲から逃れるために防空壕に逃げるような無駄な時間をすごななければならなかったけれど、これからはその必要がなくなるから自由に自分の好きなことが出来る!」と、大好きなお裁縫を使ったアートの制作を始めたのだそう。
モチーフは、野菜や魚介類、果物、野の花など、台所や庭などに日常的にあるもの。それらを徹底的に観察して、たくさんの布の中から選びだした素材を組み合わせて、ひと針ひと針縫っていく。
特に「断面」へのこだわりは大きく、トマトやかぼちゃ、西瓜、玉ねぎなどの断面を、非常に緻密に、非常にすてきに愛らしく、表現されています。
まさに、生活の中のアート。生活あってこそのアート。好き…。
布は江戸時代の古い着物だったり、使い古されたタオルだったり、ネルドリップのフィルターだったり、石油ストーブの芯だったり。
ありとあらゆる素材、柄もさまざまなものが使われているけれど、それが何の違和感もなく作品に溶け込んでいるのです。
絵を描くよりもずっと自由の利かない「布」を使って、こんなに豊かで感動的な表現ができるとは!
思わずため息が出てしまいます。
それを楽しみながらやっていらしたことも、書き残された文章などからうかがうことができ、なんて素敵なんだろう…と思います。
40歳から90歳までの50年間で、驚くべき数とクオリティの作品を世に送り出した宮脇さん。
何かを始めるのに遅いということはないし、自分の好きなことを信じてやっていくことって本当に尊いのだなと実感しました。
こんな人になりたい。
またひとり、私のロールモデルが増えました。
生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った
2025年1月25日(土)〜2025年3月16日(日)
@東京ステーションギャラリー
https://www.artpr.jp/tsg/miyawaki2025