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書籍紹介「教室を生きのびる政治学」

もっと早く出会いたかった~

専修大学法学部の岡田憲治さんが書かれた、ティーンエイジャー向けの政治学の本。2023年4月末に出たばかりの新しい本です。

政治(ことに政治参加)というと、「遠いし、手が届かないし、考えたってどうせ変わらないし、関わるったってどうやったらいいかわかんないし、へたに動いて活動家みたいになるのもどうかと思うし…。」と思いがちな私たち(オトナのほうが、ティーンエイジャーよりもそうかもしれない)。

この本では一貫して、「国とか大きく振りかぶらずとも、例えば学校やクラスの中にも「政治」はあるんだよ。政治は人間の行動力学だから。その力学の仕組みを理解することで、『どうやったら個々が安心して生活していけるか』を考えたりうまく振る舞ったりできるようになることが重要なんだよ」と言っています。

おお、新しい。目から一枚目の鱗が落ちた。

この本を読んでから改めて自分が中高生や大学生だった時のことを思い出すと、また会社に入ってからのことを振り返っても、今やっている仕事や市民活動で絡んでいる組織について考えてみても、確かにどこにでも「政治」はありました。

私はその力学の仕組みをよく理解しないで対処してきたものだから、「なんか面倒くさいな、厄介だな」と思って、苦労しながらも何となくやり過ごしてきただけ(結果、本質的なことは解決しないまま)、という感じがします。

さらに言うと、自分の人生そのものにも影響を与える、国をはじめとする大きな「政治」にも同じようにあきらめの気持ちで、考えもせず行動を起こさず、だったなと今更ながらに気づきました(結果的に、自分のためになっていないことも気づかずに)。

この本にはティーンエイジャーへの思いがあふれています。

ティーンエイジャーが読みやすい文体で書かれているし、興味を引くような問いかけや事例がちりばめられていて面白く読めるのですが、ひとりの大人、親、政治学の研究者としての矜持みたいなものが一貫して伝わってもきます。

タイトルに「生きのびる」という強い言葉が使われているのは、究極的には「子供が自分から人生にグッバイする」ということをなくしたいという願いが込められているからだと思います。

政治渦巻く、ある意味過酷なティーンエイジをやり過ごせてきた私たち大人はタフなのかもしれないけれども、あまりにも「政治」に対する知識やそれに基づく思考、行動がなかったなと今さらですが、思います。

今、学校やクラスという「政治」の真っただ中にいるティーンエイジャーにぜひ読んでもらって、「少しでも心穏やかに、安心して過ごす」ことができる人がひとりでも増えるといいなと思います。

(あと、先生をはじめとするオトナにも読んでほしい…。オトナにも役立つと思う…)

岡田憲治「教室を生きのびる政治学」晶文社

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